スタートレックってなに? 観たことない人・初心者向けに解説するよ
「スター・トレックってどういうドラマなん? おもしろいの?」
というかたに向けて、あらましや魅力を、ファン歴およそ30年の私からざっくりお伝えする記事です。
「スター・トレックが好きなんです」って人に話すと「あーなつかしいね〜。なんか深夜のテレビでやってたよね〜」という反応が多い。でもスタートレック好きにはこれが悲しいんや。
なぜなら、
スタートレックは、今でもバリバリ現役なんや!
スタートレックは何十年ものあいだ、人類の希望を描き続けてきた作品です。今、閉塞感が世界中を包むこのご時世だからこそ、ぜひ観てほしい。ぜひ子どもたちにも。
- スタートレックの解説 (ざっくり)
- スタートレックをぜひ観てほしい理由: ピンチを乗り越える人類
- スタートレックが世界に及ぼした影響
- スタートレックのテーマ曲といえば「アメリカ横断ウルトラクイズ」
- 🖖 ←この手ってなに? - スタートレックの異星人の挨拶だよ (長寿と繁栄を)
- スタートレックと「多様性」
- スタートレックの昔のテレビシリーズ
- スタートレックはむしろ新作ラッシュ (2021年現在)
- スタートレックはどこから観るのがおすすめ?
- 旧テレビシリーズもNetflixで観れるよ 飛ばして観るコツ
- まさかのコメディ「スター・トレック:ローワー・デッキ」
- お子さま向けのスタートレック「Star Trek: Prodigy(プロディジー)」
スタートレックの解説 (ざっくり)
スター・トレック (Star Trek) は、未来の宇宙船とそのクルーの活躍を描いた、テレビドラマや映画のシリーズです。最初に制作されたのは1960年代のアメリカで、以降テレビ局を変えながら多くの作品が制作されつづけて今に至ります。
ひとことで表すと、宇宙SFドラマ界の「現役最高齢のレジェンドプレイヤー」ってとこです。
作品に描かれるのは、テクノロジーが高度に発展した世界です。宇宙船は人を乗せて何光年も飛ぶことができ、上空の宇宙船から地上へ一瞬で移動できる転送技術もあります。他の惑星にも宇宙人がいて、惑星をまたいで交流したり、同盟を組んだり、対立したりします。
スタートレックの特徴
ドラマとしての特徴は、人間ドラマの要素が大きい点です。当然、SFらしい宇宙船の描写や船同士のバトルは圧巻です。でも、より重要なのは各勢力の関係性やキャラクター自身の成長物語で、この深みのある物語が長年多くの人を惹きつけてきた最大の理由です。
また、物語のベースに人類の理想を設定している点も特徴のひとつです。スタートレックに描かれる23世紀の地球では、貧困・差別・戦争を克服した社会が実現していることになっています。
スタートレックをぜひ観てほしい理由: ピンチを乗り越える人類
スタートレックをあなたにもぜひ観てほしい理由は、もちろんエンタメとして面白いからです。でもそれ以上に、人類がピンチを乗り越えるさま、それを観てほしいんです。
未知の宇宙を旅すると、宇宙艦隊のクルーたちはいろんな惑星のいろんな人種に巡り会います。中にはめちゃくちゃ暴力的な宇宙人もいます。謎の天文現象に遭って船にダメージが入ることもあります。命の尊厳など、非常に重い判断を突きつけられる回もあります。
絶体絶命のピンチが1シーズンに何度あるか知れません。それでも、そのたびにクルー達は協力しあい、なんとかアイデアをひねり出し、危機を脱出して、旅を続けます。
人間はどんなピンチも必ず乗り越えていける。その前向きな思いが常にスタートレックのベースにはあります。
だからこのご時世に、ぜひ観てほしいって思うわけよ。
スタートレックが世界に及ぼした影響
スタートレックに登場する高度なテクノロジーは、20世紀終盤から今に至るまで、多くの科学者や起業家にインスピレーションを与えたと思われます。
トレッキー (スタートレックファン) の有名人は挙げればキリがなく、そこには名だたる世界のリーダーたちも含まれます。イーロン・マスク、ジェフ・ベゾス、アル・ゴア、スティーブ・ウォズニアック。科学者のスティーブン・ホーキングは本人役として出演したこともあります。
ワープ航法や転送技術は突拍子もなく思えますが、いちおう科学的な根拠が設定されています。
ドラマが制作された頃は「23世紀の空想」でしかなかったガジェットも、一部はすでに私たちの暮らしにおなじみになりつつあります。バッヂくらいの大きさしかない通信機器、薄い板のようなコンピュータ、自動翻訳機など。
もしもスタートレックがなかったら、私たちの暮らしにスマホはなかったかもしれません。VRや、EV、ロボット、宇宙開発ブームも。
そういう意味では
スタートレックとは、インフラである
といってもよいのではないか。いや御免、ヲタクの戯言でござる……流してくだされ
影響といえば、トレッキーがネタにされたり、登場人物がトレッキーという設定の作品もちょいちょいあります。まあネタにしやすいよね。
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スタートレックのテーマ曲といえば「アメリカ横断ウルトラクイズ」
日本人はこの曲聞くと、だいたいの人が「あれか〜」ってなるはず。
懐かしのクイズ番組「アメリカ横断ウルトラクイズ」のテーマ曲ですね。これじつは初代スタートレックのオープニング曲をアレンジしたものなのです。
スタートレックのオープニングテーマ曲は、宇宙を旅する壮大なイメージで書かれたものが多いのですな。なので、名誉ある賞の授賞式とかでスタートレックのテーマ曲はよく使われる。
この前Youtubeで日本映画の授賞式を見ていたら、スタートレック・ボイジャーのテーマ曲が流れてたよ。
🖖 ←この手ってなに? – スタートレックの異星人の挨拶だよ (長寿と繁栄を)
オードリー・タンさんがちょいちょいやってるので有名になったハンドサイン→🖖
これもスタートレック由来ですよ。スタートレック愛好家の特別なシンボルです。
バルカンサリュート (Vulcan salute) っていいます。スタートレックシリーズの異星人・バルカン人の挨拶で、「長寿と繁栄を」(英語では Live long and prosper.) って言いながらお互いに手を掲げて挨拶します。
絵文字🖖もちゃんと登録されてて、たぶんどのスマホで使えるはず。バルカンサリュートの絵文字を使うには、emojipediaでVulcan saluteって検索すればOK。
バルカン人はめちゃめちゃ長寿で (200年くらい) 精神世界を重視する種族なので、言動もやたら落ち着いてて、地球人みたいに抱き合って挨拶とかはあんまりしない、という設定。そのあたりはアメリカ人から見た日本人が元ネタになってるそうですよ。
スタートレックと「多様性」
2017年開始のディスカバリー (DSC) では、ゲイのカップルやトランスジェンダーのキャラクターが登場したことでも話題になりました。
登場人物が宇宙人だらけでもともと多様性のかたまりみたいなスタートレックですが、制作年代が古いだけに、ステレオタイプな描写がなかったわけではありませんでした。
時代がすすみ、「どんな生き方も受け入れられる社会になってほしい」と願う人が増え、スタートレックの側もそれを受け入れたといえます。
現代人がスタートレックを目指したり、またスタートレックの側が現代に追いついたりしながら歴史を刻んできました。
そもそもスタートレックの設定上の未来の地球では、人類は差別を克服しています。だったらいろんな生き方の人が登場していいし、そのほうが自然なはずだよね。
スタートレックの昔のテレビシリーズ
「スタートレック、なつかしい〜」という方が「昔深夜のテレビで観てた」のは以下のどれかです。
- 23世紀の宇宙船エンタープライズ号の5年間の探査ミッションを描くオリジナルシリーズ (TOS)……邦題「宇宙大作戦」 [1966-69年] ※再放送もされていました
- 24世紀の次世代のエンタープライズ号の探検を描くネクストジェネレーション (TNG)……邦題「新スタートレック」[1987-94年]
- 宇宙基地を舞台に多様な異星人との交流や戦争を描くディープスペースナイン (DS9) [1993-99年]
- 7万5千光年の彼方に飛ばされてしまった宇宙船が故郷の地球へ帰る旅を描くヴォイジャー (VOY) [1995-2001年]
- TOSよりも昔の22世紀、宇宙探査の黎明期を描くエンタープライズ (ENT) [2001-05年]
今40代の私だとTNG〜VOYですね。
またこれに並行して、数多くの映画も出ています。日本でも比較的ヒットしたのはJ・J・エイブラムスが監督した2013年の「スター・トレック イントゥ・ダークネス」(STID) ですかね。
ちなみにめっちゃたくさんのシリーズがあるので、それぞれ空港コードみたいな3文字くらいの略称が付いてます。トレッキーはその3文字を見たらどの作品かすぐわかりますw
スタートレックはむしろ新作ラッシュ (2021年現在)
最近のスタートレックはなつかしいどころかむしろ新作ラッシュで、ここ数年で6つもの新シリーズが発表されています。
放送はテレビからネット配信に移り、世界のどこからでも観やすくなりました。日本ではNetflixかAmazon Primeで配信されています。
- TOSの10年ほど前、スポックの義理の姉マイケルを主人公にクルーたちの壮大な旅を描くディスカバリー (DSC) [2017年-] Netflix
- 宇宙艦隊を退役したTNGの艦長ピカードが小さな民間船で冒険する物語を描くピカード (PIC) [2020年-] Amazon Prime
- シリーズ初のコメディで、宇宙船の若い下位士官の日常をギャグ満載で描くアニメ作品ローワー・デッキ (LD) [2021年-] Amazon Prime
- 無法者の異星人の若者たちが遺棄された船で旅をするアニメ作品Prodigy (プロディジー) ※未公開 [2021年-]
- Strange New Worlds ※未公開
- Section 31 ※タイトル未定、未公開
以上のネット配信のシリーズは、この記事時点でどれも完結してません。
スタートレックはどこから観るのがおすすめ?
以上のように、スタートレックにはべらぼうにたくさんの作品がある。じゃあ、どこから観るのがいいか?
新作シリーズからオススメしたい
なぜなら、グラフィックスやテクノロジーまわりが現代人向けだから。
旧テレビシリーズももちろん素晴らしいんだが、登場するガジェットとかを見て「未来のはずなのになんか古くない?」って思う人もいるはず。まあ、何十年か前の作品だし。
それとテレビならではの予算や時間の制限で、未知の惑星なのになんとなくハリボテ感とか、特撮がんばってるなー感とか。
そういうのが気になっちゃうと没頭できないので、未来のテクノロジーを2021年の私たちにも納得がいく描写で、ツヤツヤで美しい最新のコンピュータグラフィックスを活用しまくって描いた新作シリーズが楽しみやすいのでは? と思うわけです。
全く初めての方におすすめ : スタートレック ディスカバリー (DSC)
おすすめポイントはストーリーのテンポの良さと、アクション要素たっぷりなところ。マーベルオタクのうちの夫も喜んで観てましたよ。
宇宙船の動きも最新鋭グラフィックスで美しく迫力があって、これが現代のスタートレックだっ! という気合が感じられます。
作品世界の時系列でいうと、テレビシリーズの中で2番目に古い年代にあたる作品。スタートレックを観たことがない人でも知ってるキャラクター「スポック」(耳と眉が尖ってて論理的な異星人🖖)も登場します。重めな話のわりに、キャッチーな要素が多い作品です。
スター・トレック: ディスカバリー | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト
昔ちょっとは観たことある方におすすめ : スタートレック ピカード (PIC)
「昔深夜のテレビでやってたよね」という方がたぶん覚えているであろう、ネクストジェネレーション (TNG) の艦長 (世界でいちばんかっこいい禿の人) の退役後のお話です。そうそう、X-MENのプロフェッサーとしてもおなじみだった方ですね。
ピカードを演じるサー・パトリック・スチュワートは御歳80歳。作中のピカードも高齢で体力の低下をおぼえつつ、それでも信念のために遠くの星を目指します。その姿は大人には特に染み入るものがあると思う。TNG時代の人気キャラクター「データ」や「ボーグ」もストーリーに深く関わってきます。
Amazon.co.jp: スター・トレック:ピカード – シーズン1 (吹替版)を観る | Prime Video
旧テレビシリーズもNetflixで観れるよ 飛ばして観るコツ
「昔観たスタートレックを観直す」のもいいですね。旧テレビシリーズのメリットは、基本的に1話完結で、途中から観てもそれなりに理解できる点です。
ただしやっぱり膨大な本数です。例えばVOYだけで7シーズン100話以上もあります。
かいつまんで観たいなら、こういう方法がおすすめ。
最初の話 + シーズンの境目前後の話 + 個人的に気になった回
「気になった回」は、タイトルと説明文を見て気に入ったキャラクターが絡んでそうなのとかを選べばいい。これでだいたいの流れは把握できるはず。またそのうち機会があったら、おすすめ回リスト作ってみようと思います〜。
旧テレビシリーズ Netflixの番組リンク一覧
こちらにの各番組へのリンク置いときますね。一部は近々配信終了では? との噂もあるので、ぜひお早めに。
まさかのコメディ「スター・トレック:ローワー・デッキ」
「最も気軽に観れるスタートレック」としておすすめしておきたいのが、現時点の最新作「スター・トレック:ローワー・デッキ」。なんと、スタートレック初のコメディ作品で、アニメ(R15+)です。
- 1話が30分くらいと短め
- 「本家」に比べて軽めテイスト、さらっと観れる
- 笑える(笑)
ということで、我が家では夕食後のまったりタイムのお供にしております(笑)
オープニングテーマや艦内のデザインなどが昔のスタートレックの「丸パクリ」で、知っている私からすればそれだけでツッコミと笑いが止まりません。言ってみれば「自身をネタにしたセルフパロディ」で、これが成り立つのは老舗ならではですね。
科学技術系の設定もきちんと作り込まれていて、それが余計に笑いを誘います。
Amazon.co.jp: スター・トレック:ローワー・デッキ シーズン1 (字幕版)を観る | Prime Video
お子さま向けのスタートレック「Star Trek: Prodigy(プロディジー)」
こんど公開されるのが「お子さま向けのスタートレック」、ツヤツヤな描写が美しい3Dアニメです。本国では「スポンジ・ボブ」などで知られるお子さま向けチャンネル「ニコロデオン」で放送されることになっています。日本での配信はまだ発表がないですが、とっても楽しみな作品です。
公式が流したティザー映像では、宇宙人の若者たちが打ち捨てられた宇宙船を勝手に起動してみた場面が描かれています。VOYのジェインウェイ艦長の映像が流れ「宇宙艦隊の船へようこそ」「え……それなに?」。
「スタートレック? 宇宙艦隊? それなに?」というお子さまと、多少は知ってる大人がいっしょに観て楽しめる作品になるのでは? と予想しております。
WATCH: Star Trek: Prodigy Official Trailer | Star Trek
以上、スタートレックの魅力を語ってみました。「どれ、ちょっと観てみようかな」と思ってくだったら幸いです。
昔は「スタートレック観るならビデオやDVDボックスを買ってね」としかいえなかったけど、今はNetflixやAmazonプライム・ビデオで今晩すぐにでも観れるから、やっと大手を振ってみんなにオススメできる。長年トレッキーやってきた者としてはホント嬉しいの。