春は曙、夏はモヒート
春は曙、やうやう白くなりゆく山際すこしあかりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。
夏はモヒート、夜はさらなり、はつかの葉の冷えたるをかねのマドラーにて食ぶこそをかし。
秋はブラック、夕日はなやかにさして黒きワンピースのにほひ合ひ、まいておもふにかなひたるゆだけの裾に、雁などのつらねたるがいとちひさくつきたる、いとをかし。些と疾しやと思へどぶーつなど着くもあはれなり。
冬は猫、布団に入りたるは、いふべきにもあらず。つとめて霜などのいと白く、またさらでもいと寒きにすとうぶなど急ぎおこして、カフェラテ食ぶれば、心のうちより温し。晝になりてゆるびもてゆけども、猫のなほ起きざるはわろす。
「枕草子」清少納言, 2014