[ニューカレドニア一人旅日記:5]ココヤシ広場で”ゆんたく”
ヌメア市街の真ん中にでーんと横たわっているのがPlace des cocotiers(ココティエ広場)。ココティエは椰子のこと。でも実はあんまり椰子植わってない、というツッコミはさておく。石畳が小洒落た、フランス風な広場。その中で、色とりどりの長いワンピースを着た色黒の女性達が集まってゆんたく(沖縄語でおしゃべりのこと)している。南国のゆるい空気がいっぱい漂っている。
10日間の一人旅。オカネはないけど、時間だけはたっぷりあるんだぜ!炎天下を必死で観光するのはしんどいたちなので、その日は読書でもしながらその広場の空気を味わうことにした。
しばらくして、一人のおじさんに話しかけられた。風貌からしてメラネシアンというか、現地の人である。派手なシャツを着ている。こういうときに気ままに話ができるのは、一人旅の特権じゃないかな?
おじさんは意外と…と言ったら失礼だけど、ソルボンヌを出てからほうぼうを遊学したインテリなのだった。いまは観光局で仕事をしていて、その関係で勉強したから日本語も少しできる。ニューカレドニア本島の北にある、マレ島の出身だそう。
いつもながらカタコト×カタコトの会話。でもこれだけ分かれば上等さ。ゆるく会話していると、おじさんが突然、持っていた紙袋の中身を地面にひろげ始めた。観光局のポスターだった。マレ島の素朴な風景と、海が写っている。私はすごいね、キレイなとこだね!と言った。「オレの故郷はこんなとこなんだ」と教えてくれるつもりなんだと思って。
違った。おみやげにくれるというの。今そのポスターは、このモニタの真上の壁にでっかく貼ってある。
見るたび、「今度ニューカレドニアに来たら、マレ島にも来いよ!」って言ってたのを思い出す。