資料ダウンロード(ユーザー登録)システムにおける「捨てアド対策」
ビジネス用のサイトで、営業資料をダウンロードしてもらえる仕組みを用意することがあります。ユーザーにメールアドレスを入力してもらい、直後にダウンロード用のURLを送付するといったものです。こうしたウェブシステムでのいわゆる「捨てアド」対策を考えてみました。
資料ダウンロードシステムの仕組みじたいはかんたんなものなので、企業の営業サイトはもちろん個人で作っている方もいるのではないかと思います。私もイラスト制作のプロモーションサイトでこの仕組みを展開していますし、フリーランスの方の営業サイトでの利用も考えられます。
ただ、この仕組みを設置すると、必ず少し面倒なことが発生します。いわゆる捨てアドを入力してくるユーザーがいる。
捨てアドというのは、一定期間だけ使えるようなメールアドレスで、いくつかのウェブサービスで無料で取得することができます。ネット上でのショッピングやオークション、または不特定多数の人に対して何かを募集するときの連絡先とか(出会いとか…)、そういった用途で使われるようです。ようは自分のメールアドレスを公開しないで済むために使うものです。捨てアドの存在自体は違法でもなんでもないですし、場面によっては便利に使えるものではあります。
が、営業用サイトの資料ダウンロードシステムに捨てアドを入力されると、サイト運営者の側にしてみれば、これは甚だ迷惑です。BtoBビジネスのセオリー上、後から御用を伺ったりお知らせを送るなどのコンタクトを取れるようにしたいからメールアドレスを入力してもらうというのに、数日たったら届かなくなる捨てアドでは意味がありません。
さらに、資料だけ取って(盗って)やろうという意図が見えるので、不気味だし気分もよくありません。また、ビジネス用のサイトで自社のメールアドレスではなく捨てアドを入力するような訪問者が、今後良いお客様になってくれる可能性はほぼ皆無です。
非常識な訪問者だなと思っても、ウェブはいろんな人が往来する公共の場なのでしかたがない。というわけで、捨てアド対策を運営側で考えるしかありません。
こんな対策が考えられるのでは、という例を考えてみました。
対策1.放っておく。
これも立派な選択肢のひとつです。考えられるなかでいちばんミニマムな方法は、放っておく、そもそも問題にしない、気にしない。捨てアドを入力する訪問者がいても構わない。そういう運営方針でやっていくという手です。
捨てアドに対抗しよう!となると、その方法に頭を悩ませる時間、それをプログラムに施す時間、ひいては料金が必ずかかってきます。気にしないことにすれば、それらの手間を節約することができます。
とはいえ、資料にまあまあ重要な情報を載せているとか、冷やかしの客には絶対に見せたくない!という意志がある場合はやはり他の対策を練ることになります。
対策2.NGにするドメインのリストを作る。
捨てアドサービスはいくつもありますが、それぞれに発行されるメールアドレスは、ドメイン名が決まっています。そこで、そのドメイン名をあらかじめリストアップしておき、ユーザーがメールアドレスを入力した際にチェックするという方法です。捨てアドのドメインが含まれていたらエラーにするわけです。
これなら、プログラムを修正する場合の手数はかんたんで済むはずです。ユーザーからの入力を受けて何かするプログラムでは、ほとんどの場合入力内容に対して何らかのチェックを施すものと思います。そこに捨てアドチェック機構を組み込めば良いだけです。
ただ難点は、リストの更新を常に気にしなければならないことです。捨てアド生成サービスはあちこちで新しく生まれますから、定期的にリストをブラッシュアップしないと抜け穴はどんどん広がります。いわゆるいたちごっこ、モグラ叩き状態です。高々50-200くらいのリストでしょうので作業量は知れていますが、今後ずっとメンテナンスしていくことが果たして可能なのか、という点は気にしたほうがいいと思います。
対策3.メールの送信を遅らせる。
捨てアドには10分から15分くらいの寿命で消滅するものがあります。そこで、資料のURLを送信するのを1時間後くらいに設定するようにすると、こうした短寿命の捨てアドを避けることができます。
ただ、ショッピング用途など数日間生きる捨てアドも存在しますから、この方法ではそれを弾くことはできません。「では資料のURLは3日後に……」なんてことになったら本末転倒なのは言うまでもありません。
そもそも、冷やかしユーザーの対策のために「本来のお客様」をお待たせしてしまうのはどうなのか、というサービス面の問題も考えられます。
結局のところ、面倒ですが「2.NGにするドメインのリストを作る。」が現実的なのではと思います……。