本を交換しあうイベント「ブックエクスチェンジ」
大阪で開催された「ブックエクスチェンジ」というイベントに参加してきました。
たぶんほとんどの方が聞き慣れない言葉だと思います。交流会の類いなのですが、これは各自のお気に入りの本を持ち寄って交換する、という趣旨のパーティです。
会場は靭公園沿いのおしゃれなカフェ。二、三十名の方がいたでしょうか。前半に交流タイムがあって、そこで参加者どうし、自分の持ってきたお気に入りの本を紹介しあいます。そこで交換したい本のめぼしをつけておいて、後半ではテーブルに全員の本を並べて、自分の気に入った本を指名していく、という流れでした。
ふつうに自分で読む本をチョイスするときって、何かとジャンルがかたよりがちですよね。このパーティでは、まあまず自分では買わないだろうなと思える本とか、全く知らない本を紹介されたりするのが面白いんです。
自分がふだん全く興味を持ちそうにない本でも、持ってきた方にとってはお気に入りの本。思いを込めて説明されてしまうとどの本も妙に面白そうに思えてしまい、交換したい本を一つにしぼるのには結構悩みました。
さて、わたしが今回持っていったのはこれ。
ぶすの女の子が主人公で、学校内のヒエラルキーに打ちのめされたりしながらも世の中と対峙して成長し、最後には人の見た目ってただの容れ物にしかすぎない、ということに気づきます。で、その彼女の道のりを支えたのが、ものすごく賢い一匹の猫なのでした…という小説です。
生来の猫好きのわたしはジャケ買いみたく衝動買いした本だったのですが、ちょうど恋愛で傷ついていた時期だったので、クライマックスに出てくる「あなたはあなたのままでいい」というような一文には涙しました。そういうこともあって、忘れられない一冊だったりします。
で、引き換えに手に入れたのはこれ。
猫も杓子もアーティストを名乗りたがる。何でも肩書きにアーティストとつければあらふしぎ!実力関係なくワンランクアップ。そんな”アーティスト”って何なのよ、それってどうなのよ?という批判本です。
イラストレーターという仕事をしていると、アーティストなのかとか、先生なのかと勘違いされる方にもしばしば遭遇しますが、わたしはことさらにアートアート言うこととか、「”人と違う”または”変わってる”至上主義」が大嫌いですから、読んでみて痛快きわまりなかったです。
いわゆる”クリエイター系”の職業の方で、真剣に仕事に取り組んでいるかたほど、こういう違和感に同意して頂ける方は多いんじゃないかと思います(もっとも、クリエイターという言葉もこの本の中では揶揄の対象ですが)。この本を持って来られた方ともなんとなく「そうね、わかるわかるw」という感じの会話をした気がします。
そんなわけで、結局のところ普段の自分が読みそうな本をチョイスしてしまったのですが、とはいえ、この日紹介していただくまでこの本の存在は知りませんでした。
でも実はもう一つ、すごく迷った小説がありました。もし一冊目の選にもれたらそちらを…と思っていたのですが、珍しくじゃんけん運が良かったようです。
そういう偶然性も、このイベントの面白いところ…ということでしょうね。
もしまた開催されるとしたら、私はとくに、「ビジネス感の強い交流会ってしんどい」と思っている方におすすめしたいです。私もお仕着せの名刺交換はあまり意味がないような気がして好きではないのですが、今回はギラギラした雰囲気もなく、まあ話が弾めば名刺も出せばいいんじゃない?という感じが自然と出来上がっていました。交流会って、本当はそのほうが正しい気がしますけどね。