「フリーランスになりたい人はクレジットカードを作ってからにしろ」の真偽のほど

改訂

独立してフリーランスを開業する前にクレジットカードを作ったほうがいい?

会社員を辞めて独立してフリーランスになりたい、という人に向けた頻出アドバイスのひとつにこんなものがあります。

「フリーランス/個人事業主になったらクレジットカードが作れなくなるから、会社員のうちにつくっておけ」

私はフリーランスになって来週で9年ですが、実際のところはどうだったか。フリーランスになってからクレジットカードの審査に落ちた経験も、審査に通った経験もあります。フリーランスでクレジットカードを作る手間についても書きました。

この記事は2019年7月30日に改訂しました。

目次

独立前に作ったクレジットカード

私は、イラストレーターとして開業するよりずーっと前にクレジットカードを作りました。早い話、そのカードは数年ごとに更新され続け、今も使っています。

独立してからは、それまでよりもより、クレジットカードには何かとお世話になっています。

事業も常に順調というわけでもなかったので苦しい時には少し頼ったり、あるいは、道具やサーバー代金、ソフトウェア代など、クレジットカードがなければ支払が非常に面倒になってしまう場面などもあります。

クレジットカードが必要かどうかそのものについて悩む人もいるでしょうが、フリーランスになるにあたって、クレジットカードがあったほうがいい、というのはそのとおりだと思います。

ほぼ無職でカードを作れてしまった経験

さて、私がクレジットカードを作ったのは20代前半でした。そのうち海外旅行がしたいと思って申し込んだんです。

しかもこのころの私、たしかほぼ無職だったはず。派遣会社の研修を受けていてまだ働く先が決まっていなかったと思うんですが、派遣会社の名前を書いたら、クレジットカードの審査は通っちゃいました。

無職だよ。

フリーランスになってからは、審査に通ったり通らなかったり

個人事業主として開業してから2年ほどたったころ、軽い気持ちでクレジットカードの契約をしてみたらあっさり落ちてしまって、ちょっとショックを受けたことあります。

家電量販店で買い物をしたら、ポイントカードを作らないかと店員に勧誘されました。「キャンペーン中だから、クレジット機能付きのにすると1万円分くらいの商品券がつくよ!」と言われたので、じゃあ、という感じで申し込んだのが、落ちました。

利用金額も安く、ポイントカードに毛の生えたもの?くらいに思ってたので、けっこうショックでした。

ちゃんと働いてお金も稼げてるフリーランスなのに、無職より信用ないのか〜、と。

聞いてはいたけど、自分で体験してみるとなかなかに悲しいもんです。

個人事業主・フリーランスは信用がない?

それ以来クレジットやローンは全く遠ざけていたのですが、今年、引越しにあたっていろいろと物入りだったので、クレジットカードを契約してみました。

こんどはすんなりと審査が通り、契約できました。

なぜ?

開業して8年、年数を経て生き残った個人事業主、ということで信用が上がったのでしょうか。時代が進んで「フリーランサーより無職のほうがマシ」という謎判定はもうやめよう、みたいな流れがあったのでしょうか。

詳しいことは私にはわかりませんけれども、たしかに言えることは、「フリーランス/個人事業主になったらクレジットカードが作れなくなる」とは、けっして絶対ではない、ということです。

クレジットカードは独立前・起業前に作っておけ

クレジットカードは、フリーランスになる前に作れるものなら作っておきな。これからフリーランスになりたい人にはそう言いたい。正社員ならもちろん、派遣社員やアルバイトでもフリーランスよりかはかんたんだからです。

そしてたぶん、できるだけ早めに作って、利用実績を作っておいたほうがいい。クレジットカードには信用ゲージみたいなものがあって、正しく使って正しく返済を繰り返していくことで信用度が上がるとされています。

作るときはサクッと作れたけど、更新の時の審査に引っかかって解約された、なんて話も実際にあるので、ちょっとでも早く信用ゲージを上げておいたほうが安心です。

フリーランスでクレジットカードを作るための注意点

勤め人がクレジットカードを作る手順は、だいたい2ステップです。申込書の入力と、後から職場にかかってくる電話に出る。最近は申込書はネットで済ませられるので、ほんとかんたんです。

ところが、フリーランス・個人事業主・自営業者が申し込むのにはひと手間必要でした。いや、3~4手間くらい。
これは私が体験したことなので、誰でも全てではないし、サービスや時期によってまちまちでしょうが、とはいえだいたいこんな感じだと思います。

まず、ネットで申込みができない。「ネットでかんたん申込発行まで30分!」とか書いてあるのはアレは勤め人専用ですね。なので、自分から電話しなきゃなりません。

それと、書類が余分に必要です。確定申告書の控えを求められました。これはいつも書類棚に置いてあるので、まあ。

さらに、電話番号。これが少々めんどくさかった。勤め先の電話番号として、携帯電話でなくて固定電話の番号を求められました。私は事務所がわりにバーチャルオフィスを契約しているので、勤め先住所はそこのを書きました。ただ、電話は固定電話じゃないとダメってことでした。

電話は携帯電話で済ませているので、どうしよう、と。チャットツールの通話機能やFaceTimeなんかを使うことが増えたので電話の出番も少なくなってきているんですけどね。

ということで電話口のオペレーターに正直に尋ねてみたところ、要は在籍確認の連絡がつけばいいってことでした。実家が固定電話だったので、その番号を書きました。あとは実家の親に電話してクレジットカード会社から連絡が来るからよろしくね~、と伝えておく(私の場合は親切にも「何時間後くらいにかけます」と教えてくれたので、それに合わせて実家へ行き、自分で在籍確認の電話を取りました。近いからできる芸当)。

だから、これからクレジットカード作りたいフリーランスは、固定電話の回線を持っていたほうがいいよ。関西にお住いだったらeo光でネット回線を引いて光電話をつけると、特別な追加料金なしで06や078や075の市外局番から始まる番号を割り当ててもらえます。あからさまにIP電話って感じがしなくて対外的な信用度もかなり高いから、せっかくだし顧客からの問い合わせ先として利用するのもアリ。

フリーランス向けクレジットカード?

フリーランスになる前にクレジットカードを作っておけ!っておすすめしたけど、なにも勤め人じゃないとクレジットカードを作れないってわけじゃない。フリーランスでもちゃんとクレジットカードは作れるよ。

そこで、中小企業や個人事業主を対象にしたクレジットカードっていうのがあります。これは逆に勤め人では作れなくて、申込要件に「個人事業主か経営者」って但し書きが入ってます。

広告で「スタートアップ企業にも!」って言ってるくらいなのでフリーランスにもおすすめ。申込みフォームも事業主向けになっているのがありがたいよ。カードの券面に会社名が入るってのもいい。

事業用って言ってもちゃんとポイントも貯まるし、海外旅行保険やお買い物補償もついてるし、ゴールド・プラチナは空港ラウンジも使えて、その辺は一般のカードとも変わりないので安心です。

あと素敵なのが福利厚生サービスで、月額いくらか払うといろんな優待サービスが受けられるというもの。スポーツジム、英会話などのスキルアップ、飲食、ネイルサロン(!)、宿泊施設、などなどが月320円~、という(記事執筆当時)。個人事業主・フリーランスって単独だとこういう特典が全然使えないから、ありがたいです……!

ただし申し込みの時にはやっぱり確定申告書類が求められるから、フリーランスって言ってもちゃんと開業届は出しておくのが基本中の基本だよ。

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