抽象画がわからないという人に伝えたい、アート絵画の美味しいいただき方

この前、テレビを観てたら、旅番組にケベックの風景画家が出てたんです。

(ナレーション)ここはアートの町、訪れる旅人は大自然と芸術の香りを同時に楽しむことができるのです……わぁええなあ、ケベック行ってみたいわあと思って観てたんです。で、その画家の絵は写実的なやつじゃなくて、シンプルな面でデフォルメされた、いわゆる抽象表現のやつ。

そしたらね、主人(※美術デザイン経験ゼロ、つかむしろマイナス)がね、「これって上手いんですかねー?わかんねーす」とか言うんですよ。あー来たでコレ、日本人ってすぐこれ言うよなァァァーーもーーーと思い、

「おや、リアルに描いたアニメ絵しか評価でけはらへんのどす?そら貧しいことでんなあ」

って言ってしまったのが、今月の反省。
ごめんね。

ていうか、ちゃんと説明してあげればよかったな。ごめん。

ちゃうねんな。この絵をパッと観ただけでうまい、へたを論じるのは、ナンセンスやねんな。

この画家は他の州の出身で、わざわざこの地に住まいを定めた。画家はその雄大な自然の風景に感動して、彼の中のフィルターを通したら、こんな絵ができあがった。この一連の結果が、この一作なんですけど、あなたはどう思いますか?どう感じますか?ってのが、アートの美味しいただき方なんやな。

もっと言うたら、旅行者がその町でその絵に出会うその時が、その絵のいちばんの旬なんや。「この画家さんも、私と同じようにあの雄大な自然に感動したんやな!」ってな共感を生む。

加えて、旅行者自身も雄大な自然を見るからこそ、抽象表現が効いてくる。「何描いてあるかはっきりわからんけど、たしかにあの風景を表してる絵やわ!」ってな感動を生む。そうやって感動が何個か重なったら、お買い上げ、まいどあり、なわけ。

まあ、戦略なんやで。芸術家は商売人や。

ていうことは、あの絵をテレビの画面越しに観てももひとつ感動せえへんし、何コレうまいの?みたいな感想になってしまうのはしゃあない。アートは体験型エンタテインメントなんやと思うんよ。

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