プレゼンの背骨は「ストーリー」。NHK「東北発☆未来塾」で高校生に感動させられた話
東北のふつうの高校生たちのプレゼンテーション。正直なところちょっとイライラしそうなくらい稚拙なのに、なんでこんなにわくわくさせられちゃったのか。それは、ストーリーという背骨がちゃんと通っていたからです。
NHKで「東北発☆未来塾」という番組を観ていましたら、とってもすてきなプレゼンテーションに出会ったので、紹介します。
大人でも難しいプレゼンに、高校生が挑戦
こんな番組です。東北の農家を、地元の高校生たちが訪ねます。高校生たちに与えられた課題は「農家が持っている課題を見つけ出し、それを解決して、より売上を伸ばせるアイデアを提案してください」というもの。
大人でも難しいこの課題に悪戦苦闘する高校生たちの姿が描かれたあと、最後に3チームが順にプレゼンをします。
白菜農家のご主人は高校生たちに対し、震災に合い、しかし震災ボランティアの助けを借りて復活にこぎつけた体験を語ります。そしてこうも言います。利益が出ることが、ぶっちゃけいちばん大事だ。高校生にはちょっと生々しい商売の本音も、彼らのインスピレーションを刺激したかもしれません。
手をつないだ白菜のロゴに感動
そんな白菜農家を訪ねたチームのプレゼンは、「白菜に付加価値をつけよう」という提案ではじまります。
台湾の故宮博物院に収められている翡翠の白菜などにも象徴されるように、白菜が富のシンボルとされた文化があった。それにならって、彼らの町にも「白菜文化」を作ったらどうか。この町特産の白菜を出すお店は商売が繁昌する、幸運の白菜だよというストーリーを作って販売に役立ててはどうでしょうか、と提案は続きます。
白菜文化を根付かせるためには、たとえば、お正月の鏡餅の代りに飾るとか。
ええええぇ Σ(゚Д゚ )
そして最後に彼女が取り出したのは、白菜をモチーフにしたロゴマーク。
白菜をつないだ手に見立てたマークは、人と人とのつながりこそが自分を助けてくれた、というご主人の言葉から着想したものです。けして緻密なデザインとは言えませんが、彼らの提案する「白菜文化」のフラッグとしてふさわしいものでした。
白菜農家のご主人もこれには心が動かされた様子で、「即採用したいくらい」とうなります。
(ただ、「もしパテント料いらないんだったら」という言葉には内心ツッコミ入れたけど。まあそれはさておき。)
プレゼンの背骨は「ストーリー」だ
どうってことない白菜の絵が、どうしてこんなにひとの心をつかんだのか。その絵をいきなり出しただけでは、たぶんそんな反応は得られなかっただろう、と講師の岩佐大輝さんは評します。
その白菜のロゴにに至るまでのストーリーがあったからこそ、人の心を動かした。もちろん、ただ単にプレゼンの見せ方として表面的に作るということではなく、根底に込められた思いがまずあって、そこから生まれるストーリーが企画全体を背骨のようにはしっているからこそ、表現が強い力を持つのです。
うむ。高校生の姿から、こんなにも学べることがある。
また他のチームも、新しいショップサイトのモックアップを作ってしまい農家のみなさんを驚かせるなど、とてもよい仕事っぷりでした。こんな体験をした世代がこれから世に出てくるなんて、わくわくすると同時に、焦りも感じます。とてもいい気分です。
NHKオンデマンドで観られるみたいなので、ぜひご覧になってみてください。