ロゴ制作「2万円で提案70点!」が全くおススメできない3つの理由

オフィスで仕事をする風景

オフィスで仕事をする風景

「2万円で提案70点!」。最近よく見かける、クラウドソーシングサイトのコンペ形式募集の広告です。「そんな値段で、そんなにたくさんの案が?!」ということで飛びつく人もいるかもしれませんが、ちょっと待ってください。

私は個人的に、「コンペ形式」でのロゴ募集はおススメしません。結構いろいろなデメリットがあるのをご存知でしょうか?

理由1: 提案するデザイナーのレベルは高くない

コンペ形式は、募集をする側から見ると便利ですが、仕事を受けるデザイナーの側から見るとかなり「問題アリ」な存在です。低すぎる報酬、著作権などなど。キャリアのあるデザイナーはそれに気づいているので、クラウドソーシングサイトを利用していても「コンペ形式にだけは絶対に手を出さない」という人が非常に増えています。

そういうわけで、コンペ形式に応募したがるのは、そういった意識のない、あまりレベルの高くないデザイナーがほとんどです。学生とか、あるいは趣味でやっている人などです。

理由2: 応募してくるデザイナーの良さを全く引き出せない

応募してくるデザイナーの質よりも、もっと根本的な問題があります。こうした募集形式では、個々のデザイナーの良さを引き出せない、ということです。

まず、募集側は「こんな雰囲気で」という文章を添えて募集を始めます。申し訳ないのですが、この文章が的確であることはまずありません。デザインの素人こそが募集をする場である以上、これは仕方がありません。

ただ、その後が問題です。デザイナーは、これだけの情報で作り出すしかないのです。

本当は、デザイナーの仕事の肝はその後にあります。インタビューをしたり、商品や会社の、あるいは社長の理念に触れたりしながら、クライアントが納得するデザインは何か?ということを探るのです。当然、クライアントはこの手順があるほうが満足できるし、デザイナーのパフォーマンスも引き出されます。グラフィックを作るのは、またその後の話です。

コンペ形式は、その大事な部分、めんどうだけれども最も大切なコミュニケーションの部分をばっさりと切り捨ててしまいます。

もし、駆け出しながらもこうした能力を持ったデザイナーがいたとしたら、末永く「安くてウマい」良い人材としておつきあいすることもできるでしょう。でも、コンペ形式では、それに気づいてあげることが一切できないのです。

理由3: 案が多ければいいというものではない

たくさんの案を集めれば、おのずと良いものができる……と思っている人が多いと思いますが、これが大きな間違いです。

どんなデザイン的に素晴らしい案が出たとしても、最終的に募集側が素人判断でひとつを選ぶわけですから、それが本当に”いいもの”かと言われたら、あやしいものでしょう?

制作物を見て、直接交渉を

以上のような理由から、コンペ形式の募集は「せっかく募集したけれど、何かイマイチ」ということが起こる確率が高いのです。挙げたようなデメリットを納得したうえで、例えばあまりクオリティを期待しない場面で利用してもよいでしょうが、そうでないのならば、やはり直接デザイナーを見つけてくるべきです。

具体的にどうすれば良いかというと、クラウドソーシングサイトでは個々のデザイナーのプロフィールを見ることができますから、そこから作品や経歴を見て、良さそうな人に直接メッセージを送るということです。

結局のところ、”クラウド”相手に依頼するよりも、”人”相手に依頼したほうが、満足度は高いのではないか……と思うのです。

 

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