プロのラフスケッチ公開します!最終的にこんなイラストレーションになりました。
ラフスケッチ。もしくは、アイデアスケッチ。イラスト制作でもウェブサイトや販促物のデザインでも重要な存在ですが、そのまま陽の目を見ることはまずありません。
ふだんは捨ててしまうラフスケッチですが、あえて公開してみることにしました。イラストレーターの私が実際に仕事を進める中でどんなラフスケッチを描いたのか、またそれが最終的にどんなイラストレーションになったのかを紹介します。
雑誌の表紙イラストができるまで。
ここでご紹介するラフスケッチは、医療従事者向け専門誌の表紙の仕事をしていたときのものです。担当の編集者さんに送ってアイデアを伝えたり、あるいは下描きの準備として描きます。
この雑誌は毎号、医療に関するテーマをメイン特集として掲載します。比較的抽象的なその内容をイラストで表す、しかもやさしくわかりやすい雰囲気で……というのがこの時の私の毎月のミッションでした。
パート1 – テーマ:DOTS
DOTSとは医療の専門用語で、患者が正しいタイミングで薬を服用できるようにするための管理手法のことです。
このテーマを表現するのに、正しくリズムを刻む音符やカレンダーのイメージを提案しました。
「おやつ」のイメージも提案してみたのですが、これはちょっと抽象的すぎたかもしれません。
もっともわかりやすい、カレンダーのイメージが採用されました。
パート2 -テーマ:院内感染
次のテーマは「院内感染を防ぐには」。菌との闘いのイメージが湧いていたのが、ラフからは見て取れます。
が、「闘い」は雑誌の雰囲気にふさわしくない。もっと優しいものを。というわけで再度アイデアスケッチを練りなおし、感染が起こらないよう「見張る」という方向性が採用されました。
虫眼鏡のイメージが描いてあります。
このあたりの流れは制作した自分自身ですらすっかり忘れているものですが、こうして振り返ってみると面白いものですね。
中に描かれている建物は病院のイメージですが、いちおう間取りも考慮されています。
パート3 – テーマ:がん対策
「行政によるがん対策の強化」が特集テーマだった号では、「時間」または「暮らし」をキーワードにした表現をラフスケッチとして提案しました。
「暮らし」というキーワードが出てきたのは、テーマの本筋ががんの治療そのものではなく、人々が人生においてがんと付き合っていくとき、または残された時間を良いものにすることについて行政がどのように関わっていくことができるか、だったからです。
なかなか抽象的な内容で表現が難しいですが、考えていくうちに優しい・暖かい雰囲気が必要なのがわかってきます。
テーマについて自分なりに消化したメモなども見て取れます。
担当編集者さんと相談した結果、人々が集って思い思いに過ごす公園の風景を採用しました。発行時期がちょうどクリスマスの頃でしたので、ラフスケッチにもクリスマス的な要素が盛り込まれていきます。
最終的にこれらのラフスケッチは、こんなイラストになりました。
最終的にご提供する絵はひとつですが、そこへたどりつくまでに何枚もの絵を描かなくてはならないことがお分かりいただけたかと思います。イラストレーターやデザイナーに仕事を頼んだ場合の価格には最終納品物だけでなく、ラフの制作やその他諸々の作業も含まれることをご理解ください。
イラスト制作 参考データ
ご紹介したようなイラストを制作する場合の条件例は次の表のとおりです。
使用媒体 | 雑誌(専門誌) | 発注元業種 | 出版社 |
受注点数 | 1点/月 x 12回 | 制作日数 | 5営業日/点 |
画材 | ピグメントライナー・水彩絵具 | サイズ | 印刷時:約180mmx180mm 現物:約300mmx300mm |
納品形態 | 現物を郵送にて納品 | 参考価格 | 50,000円/点 |
イラスト制作例を見るにはこちら
»イラスト制作 Factory70 | 料理イラスト制作、教材図版制作etc