“絵心”とか”感性”とか、あんま言わないでー!
「絵を仕事にしてます」って話すと、こんなことを言うひとがいます。
「すごいですね!私は絵心がないから〜。」
「すごい!すばらしい感性をお持ちでいらっしゃるのですね!」
なんかね、正直……この反応、好きじゃない。
「悪気があって言ってんじゃないじゃん!!褒められて文句言うとか何様?!」って脊髄反射しないでね。お気持ちはちょうだいしております。
それを聞くと、絵ってなんだかよく分からない能力で、天賦の才能を持ってる人にしか描けないもの、みたいに思われてるんやなあ、と思うんですよ。
「絵心」とか「感性」という言葉は、その「よく分からない能力」を指している。
でも、私たちのような、イラストレーターとかデザイナーとかっていう職業の者は、みんな、別に感性のおかげだけで稼いでるわけやなくて。
他の職業とおなじように、勉強したり、努力したり、面接や営業で断られまくったり、取引先や上司にムチャを言われたり、また意外とそこから学んだり、あるいは優しくしてもらったりしながら、世の中を渡っていけるようになるのです。
だから、あんまり特別扱いしてほしくないなあ、って。
実は、絵を描く能力は人間誰にでもプリセットされていると言われています。それが証拠に、原始人や幼児が絵を描きたいって衝動を持ってるわけで。
だのに、なんでこんなに絵を描ける人が少ないのかというと、「絵を描ける人は天才または変人」っていうオトナの刷り込みが昔からふつうに行われているから、っていう話があるのですけど、私はたぶんそれ正解やと思います。