Arduinoを使った開発イベント「ものアプリハッカソン」に参加してきました(1)

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Arduino UNO

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この週末、オープンソース・ハードウェア 「Arduino(アルデュイーノ)」を使った開発イベント「ものアプリハッカソン」に参加してきました。

このイベントは大阪市主催。こんなとんがったイベントが行政主導なのにはびっくりですが、大阪発の革新的なテクノロジーが生まれることを期待して、Innovation Osakaというタイトルのもといろんな支援事業を行っている模様です。

ハードウェア(もの)×ソフトウェア(アプリ)× Hackathon(ハッカソン)=?! 『ものアプリハッカソン』は、週末の二日間という短期間に、与えられたテーマに従ってオリジナル・ガジェット(電子機器)のプロトタイピングにチームでチャレンジするイベントです。
http://www.innovation-osaka.jp/ja/events/000003/

結果として、私のチームのプロダクトは第一次審査で2位をいただき、プロトタイプ開発へこぎ出しましたが、最終審査では惜しくも賞を逃してしましました。

しかし賞なんか関係なく、とっても得るものの多い二日間でした!

「ハードウェアxIT」のイベントが開催される背景

募集ページではこのように紹介されています。

クリス・アンダーソンの『MAKERS』に紹介されたように、オープンソースハードウェア(※Arduinoもそのひとつ)、3Dプリンタ、製造業におけるEMSなどの普及により、これまで大企業でしか生産することが出来なかった家電製品等のIT技術を活用したハードウェアの生産が個人でも可能となっています。
http://www.innovation-osaka.jp/ja/events/000003/

超飽和状態のウェブサービスに比べて、これからはハードウェアに可能性があるかもよ!というお話。でも、ビジネスの視点をはずしてみても、手先を動かして何かをつくる、というのは芸大出身の私にしてみればそれだけでも魅力的だし、それがさらにネットやクラウドとかんたんにつながれるとなると、ちょっとわくわくせざるを得ないのです。

イベントはこんな流れで進みました

一日目はアイデアワークショップが大半を占めます。会場に到着するとあらかじめ決められた10チームのデスクがあって、それぞれでワークに取り組みます。

ものアプリハッカソンにて。そこで生まれた10のアイデアから第一次審査をして5つを選出、チームを再編成します。そこから、開発への道筋をつけるあたりまでで一日目は終了。居残って深夜まで取り組むメンバーもいました。

本格的に開発が進むのは二日目。メカに強いメンバーはプロトタイプの制作を、それ以外のメンバーはプレゼン用資料の完成を目指します。私はプレゼン資料担当。

プロトタイプ開発にあたっては、Arduinoといくらかの工作パーツ、それと少しの予算が与えられて、実際にお買い物に行くメンバーもいます。

アイデアワークショップが結構ハード

一日目のアイデアワークショップが相当ハードでした。何度も繰り返しブラッシュアップしてより良いアイデアを出そうとするのですが、これがなかなかうまくいかない。手順はこんなふうでした。

  1. 三つのなかからテーマを選ぶ
  2. ターゲットユーザをものすごく具体的に、というか実在の人物として設定する
  3. 過去・現在・未来の行動をリストアップ
  4. そのなかで最も印象的なできごとを元にして、その人のニーズとインサイト(その人本来の望み)を導きだす
  5. そこからアイデアを出して、思い込みや常識を取り除く作業をする

リストアップするとこれだけなのですが…(^_^;)

本来は1週間くらいかけて行うワークだそうですが、一日で詰め込んでやるのもまた、自分の能力の幅を広げられるかもしれません。頭がいっぱいいっぱいで満足できるアイデアを出し切れませんでしたが、それもまた次への糧に。

Mee:m私たちのチームは「海外の旅行先のホテルのロビーで、今日撮った写真をすぐに絵はがきにできるプリンタ」というものを考えました。

知らない人どうしのコラボが進んでいく

アイデア出しのあと、手書きでラフな資料を作って、第一次審査。ここでチームの数が半分になります。なので、アイデアを生んだチームに、選ばれなかったチームから新しいメンバーが加わります。

朝、全く知らない人同士でチームを組んで、夕方までワークをして、やっとまとまりつつあるところに、またチーム編成が変わる。それは少しの不安を生むことではありますが、それがまた新しいアイデアを生むかもしれないのです。

例として、iPodが開発されたとき、タッチホイールを生んだのは発案者ではなく、後から加わったメンバーだった…というエピソードが紹介されました。

私たちのチームでもそこは期待通りでした。新しく加わったメンバーの中にすごいスキルの持ち主がいたり、元のメンバーからは出てこなかったアイデアを出してくれたり…。

例えば、第一次審査用に作った仕様書ではかんたんなスケッチしかなかった外観が

ものアプリハッカソンにて。設計図のラフ

最終発表では本格的すぎる3Dデータに進化しちゃったり

ものアプリハッカソンにて。

 

しかも、iPadをモニタに見立てた模型まであるのだ!

iPadを使った模型

タミヤのモーターがおもむろに登場したり

ものアプリハッカソンにて。

ものアプリハッカソンにて。


おもしろすぎるサプライズがいっぱいでした!

「ものづくり」ってむずかしいな!

私たちのチームのプロダクトは、アイデアはすてきだったと自信を持って言えますが、ハードウェア部分のハードルが高くて、そっちの担当のメンバーは結構苦労したかもしれません。

私たちが取り組んだアイデアワークは「ターゲットユーザのひとつの行動からアイデアを得る」というものでした。きっと、Arduinoありきで何か作れるもののアイデアを出せばよい、ということならもっと楽にモノが作れたのでしょう。でも、そうでなくてよかったと思っています。

単に工作をするんじゃなくて、誰かを幸せにできるプロダクトを作る、ということがたぶんこのイベントの意志だったと思うし、私もそういうことがしたいからです。

たんに「ものをつくる」のはかんたんだけど、誰かの心に届き、なおかつ実際に動くかたちで実現するのはむずかしい。でも、だから楽しい。

当たり前のことかもしれないけど、それを体感できたイベントでした。

 

他のチームのプロダクトもすてきだったし、もう少し語りたいので、続きは後日!

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