[TED]やる気を引き出すのは、お金じゃない!ダニエル・ピンク先輩のプレゼンに笑いと感動。

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右肩上がりのグラフ

右肩上がりのグラフ

少し前にもネタにしましたが、TEDから。NHKでも放送されていて、番組名を「スーパープレゼンテーション」と言い、毎回素晴らしいスピーカーが登壇します。友人との間でも話題になることが最近増えていて、注目されている方も多いのではないかと思います。

昨晩、録画しておいたダニエル・ピンクの回を観ました。

ダニエル・ピンクと言えば、私にとっては「あぁあの『フリーエージェント・ネイション』の人かあ!」…です。フリーランサーの親玉みたいな感じで勝手に思ってました。あんなに話の面白いお兄さんだったとは知らなかったなあー。会場はかなり笑いの起きる場面が多かったです。記事の最後にビデオを入れといたので、まだの方はよかったら観てみてください。

今回のプレゼンは、仕事のモチベーションについて。「報酬がやる気を引き出す」と当然のように思っている人が多いですが、実は、報酬がやる気を引き出すどころか、弊害にさえなりうるというのです。しかも、それは科学的に実証されているとか。

お金がやる気の弊害になる、かもしれない

プレゼンテーションでは、こんな実験を紹介していました。

テーブルの上にろうそくとマッチ、箱に入った画鋲が置いてある。

被験者には「ろうそくを壁に付けるにはどうしたらいいでしょう?」という課題を与え、ふたつのグループに分ける。

片方だけに「成功したら5ドルあげる」という風に言っておく。

さっくり正解を言ってしまうと「箱から画鋲を出して、箱をろうそく台として壁に貼付ける」。カンタンなようでいて意外とひねった回答に人はなかなかたどり着けないもので、プレゼンテーションではこれを「クリエイティブな課題」として取り扱っていました。

さて、さきほどの実験グループ、どちらのほうが早く解決したと思いますか?

たぶん「報酬を貰えるほうが早かったのでしょう」と言う人が多いでしょうが、実は答えは逆でした。

「アメとムチ」で働かせるのは20世紀的。

逆に、報酬を用意したグループのほうが早い結果を出す場合もあります。それは、問題からクリエイティブさをとっぱらって「単純作業」に変えたとき。

短いプレゼンでそのメカニズムまでは説明していませんでしたが、科学が導いた結果はつまりこんなことなのです。

問題がクリエイティブなものである場合、

「自分の課題として取り組むほうが、報酬のために働くよりも効率的」。

ふりかえってみて、現代。単純作業はカンタンにアウトソーシングしたり、コンピュータに自動化させたりできる時代です。私たちの重要な仕事は「クリエイティブ」なほう、発想やアイデアやコミュニケーションを求められること、ですよね。

自主性が報酬に勝った例として、こんな話を紹介していました。

「むかしむかしマイクロソフトが、巨大な電子百科事典を作ろうとした。多くの学者やライターに多大な報酬を払い、その報酬の管理者にも報酬を払った。いっぽうで、誰もが無報酬で働くオンライン百科事典がスタートした。当時、いったい誰が、Wikipediaが勝つなんてシラフで言えただろう」

20世紀的な「アメとムチ」による人間の管理はもうあまり意味をなさない、ということです。それよりも、自主性と自由な時間のほうがこれからはもっと大切なんだと。

ビジネスのための新しい運営システムは、3つの要素を軸にして回ります。

  • 自主性–自分の人生の方向は自分で決めたいという欲求。
  • 成長–何か大切なことについて上達したいということ。
  • 目的–私たち自身よりも大きな何かのためにやりたいという切望。

これらが私たちのビジネスの全く新しい運営システムの要素なのです。

もっとクリエイティブ寄りに生きるために

そんな話を聞きながら、思いました。

「誰でもいいから、とにかく安くやってくれ」という仕事のオファーがこんなにもムカつくのは、自分にクリエイティブな仕事をしているという自負があるからなんだな、と。私には私の(誰でも)固有の能力があるのに、報酬にこだわられるとその能力に期待をされていないような気分になってしまう、というのは一部の方にはすごく共感してもらえるのではないかと思います。

私はダニエル・ピンク先輩と同じ、フリーランサーです。自分を成長させたかったら、「もっと儲けたい」と思っているだけじゃだめなんだなぁと、改めて思いました。それは自分を低くみせてしまうことなんじゃないか。幸い「自主性」はまあまあ満たしているかもしれません。

ビデオはこちら

ダニエル・ピンク 「やる気に関する驚きの科学」/Dan Pink: The puzzle of motivation

教えてください…

余談ですが…

「私の住んでいるワシントンD.C.風に言えば『真実の事実』(True fact)です」というくだりで会場大爆笑してたんですけど、これってどういうジョークだったのでしょうか……?どなたかご存知の方教えてください〜。

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