大丈夫やで☆イラレでウェブデザイン【その5】紙とウェブは全く違うってこと
Illustratorでウェブサイトのレイアウトを作るシリーズの最終回、最後はいちばん大事なこと……ウェブデザインそのもののことに触れてみます。
チラシやポスター、エディトリアルなどの紙ものと、ウェブサイトのデザイン、それぞれの文法の違いをもっと意識しようよ、というお話です。
両方やってると、わかってしまう
「あれ?」と思ったら、やっぱり紙専門のデザイナーだった
仕事上、誰かがデザインしたものをHTMLコーディングだけ引き受けることもあるのですが、送られてきたファイルを見てあれっと思うことがあります。「このデザインをした人はどなたですか?」と営業さんに聞いてみると、そういうときはたいてい、印刷会社のデザイナーだったり、チラシを担当したデザイナーだったりします。
私はウェブのことも紙媒体のことも両方知っているので、結構気になります。
よくあるツッコミどころ
具体例をここに画像で挙げるわけには参りませんので、なんとか言葉にしてみましょう。私が困ったなと思うのは、こんな点です。
- ピクセルが合っていない(以前の記事で挙げたとおり)
- 文字のサイズを考慮していない(たいていは小さすぎる : 9ポイントは紙では読めるけれど)
- 要素を詰め込みすぎる(紙では非常に大切なスキルなのです、が)
- 文字を画像にして使うのか、テキストデータで表現するのか、意図がわかりにくい
紙とウェブ、違いを知るべし。
違いのわからないデザイナーなんて!
以上はほんの単純な違いです。分野はどうあれ、デザイナーを名乗るような人であれば、もし知らなかったとしても言われれば気づくようなことだと思います。
ただ、それらの違いを知っていながら無視したり、知ろうとも気づこうともしない人がデザイナーを名乗ってしまうことが困るのです。
もし「私は紙専門だから。ウェブのことなんて難しくてわからないから」と開きなおってしまうデザイナーがいたとしたら、その人はウェブサイトのレイアウトには絶対に手を出してはなりません。いくらギャラが良かろうと、上司からの強い指示があろうと。
完成までのしくみと、見る人のことを考えればいいだけ。
しかし、なにもそんなに難しい話ではありません。成り立ちや見る人のことに考えを馳せれることさえ忘れなければ、ちゃんとしたデザイナーなら、ふつうにまともなものが作れるはずです。
モニタ上に光が映ることで完成するのか、それとも紙にインクが乗って完成するのか。あるいは見る人目線で言えば、コンピュータやスマートフォンに映ったものをスクロールしながら見るのか、あるいは、手に取ったり壁に掲示された紙を見るのか。
最終形が違えば、求められる正解も変わります。言い換えると、紙とウェブではデザインの文法が違うのです。
切り替えることが大事
この記事では細かいことまでは書きませんが、ウェブと紙の違いを意識するきっかけにして頂ければ幸いです。どちらが偉いとか優れているなどということはありません。「誰かに何かを伝えるために、見た目の整ったものをつくる」という目的においては、たいした違いはないのです。
ウェブ専門のデザイナーも、紙専門のデザイナーも、あるいは両方やる人も、場面によって適切な文法を活かして、より良いものを作れるようにいたしましょう。