[イラスト旅行記@石垣島:7]鷲の鳥-沖縄には歌碑というものがやたらある、という話。
歌碑、ってお分かりになりますか?唄の歌詞を刻んだ記念碑です。沖縄にはこれがものすごくたくさんあります。多くはその土地にまつわる琉球民謡や古典音楽の歌詞が刻まれています。
しかもこの絵のように、単なる石碑でなかったりもします。
このスケッチは、離島ターミナルの向かいにある美埼公園でのものです。モニュメントは石垣港竣工の記念碑ですが、裏側に八重山民謡の代表曲「鷲の鳥節」の歌詞が刻まれています。冒頭の言葉「あやぱに」はカンムリワシの羽が上等な綾織りのごとく美しいことを表現していて、かつて商店街の名前でもありました。
じつは商店街にも、ここから歩いて5分以内ですが、同じ唄の記念碑があると聞きました。なぜか見つけられずじまいでしたが、ともかく、すぐ近くに重複するというのに、沖縄県民はなぜかそれでも歌碑を置きたいのです。
たくさんの歌碑がある理由について、沖縄県下の自治体は基地とのからみで比較的お金に余裕があるからだと言う人もいます。それがどれくらい的を射た意見なのかは知りません。しかしそれ以上に、地元の人たちが地元の唄を愛していることの強い現れのように私には思えます。
だって、こんなに美しい唄があるんだからね。
《鷲の鳥節(ばすぃぬとぅりぶし)》
綾羽ば生らしょうり びる羽ば産だしょうり
正月ぬすとむで 元日ぬ朝ぱな
東かい飛びつけ てだばかめ舞ひつけ〈意訳〉
綾の羽の鷲が生まれた 艶めかしい羽の鳥が生まれた
正月の朝 まさに元日の朝
東へ向かって飛べ 太陽を冠に頂いて 舞え
石垣島には、もちろん他にも歌碑があります。たとえば、BEGINの「島人の宝」で「言葉の意味さえわからない」と歌われている八重山民謡「とぅばらーま」の歌碑は、幹線道路沿いの分かりやすい交差点にあります。立派な根をもつ巨大なガジュマルのそばにあり、旅行者は相当インパクトを受けるはずです。
もうひとつバス道沿いの空港に近いあたりには「赤馬節」の歌碑もあります。そばへは行けませんでしたが、車内からでも立派な馬の像が見え、思わず二度見しちゃいます。
歌碑を巡る旅、というのもなかなかおもしろそうですよ。
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